特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、老健施設の医療職、介護職の皆様、そして事務管理者の皆様。
皆様の施設に、イラスト図のような身体状態になり、とてもつらい思いをされている方はいらっしゃいませんか?
原因疾患によらず、廃用症候群による四肢体幹機能障害のある高齢の方で、看取り期が近づくにつれ、このような身体状況のなることが多いのですが、それには理由があると考えています。
このような身体状況の利用者の方の状況を緩和することができれば、呼吸や嚥下状態が良くなり、誤嚥性の肺炎のリスクが下がります。楽に生活ができるようになり、無理な介助によって起こる骨折リスクを避け、介助者の方も安全に関わることができます。
※ここで紹介するアプローチの有効性には個人差がありますので、個々の状態をよく観察し、安全を確保しながら無理をしないようにして、お試しください。
※ここに述べる内容については仮説です。
現在、評価研究を行って検証を試みていますが、現時点ではエビデンスのある理論ではありませんので皆様のご判断でご理解下さい。
まず、高齢の方がイラスト図のような身体状態になる原因について、以下の2つの要因に注目します。
① 立ち直り反応
そもそも臥位は基本的に、入眠時の姿勢です。
起きているとき、通常、私達は頭部を横にすることに不安を感じます(「認知面」の問題のある方はなおさら不安になります)。
重力に対して垂直に頭部を起こそうとする抗重力の姿勢反応を「立ち直り反応」と言いますが、周りの状況理解が充分でなく、不安な状況に置かれると、特にその反応は強くなります。高齢の方も、身体が自由に動けば立ち直り反応によって頭部を垂直に起こし、「まわりの状況を見渡し」、「対応ができる」状態に移行するのですが、関節の拘縮と筋力の低下によって姿勢を変化させることができません。けれど、「立ち直り反応」は起こり、頭部を起こそう、体幹を屈曲しようとして、体幹前面の屈筋群が緊張した状態が続きます。
※この時、図のように頭蓋だけは伸展(頚椎上部の伸展)している場合がありますが、これは臥位で起こったものはなく、このような状態になる前の座位での不良姿勢によって作られた状態ではないか、と考えています(資料1「頭頸部突き出し姿勢」参照)。
② 重力不安
高齢の方の多くは、認知力の低下によって、自分の置かれている状況の理解が困難となり、不安にさらされています。
また、運動機能の低下によって体の動きが少なくなると、身体を支持する支持面からの皮膚へのフィードバックが得にくくなるため、支持面から身体を「支持」されている感覚を確認しづらくなる、と考えます。身体が充分に支持されていないために、自分の体がとても不安定な状態にあると感じ、上肢も下肢も屈曲し、身体を丸めて安定させようとします。手で衣服を掴み、少しでも安定しようとしています。
※①と②は相互に影響していると考えます。
おとひめクッション
ネックピロー
膝下クッション
三角クッション
(大・小)
エラストマーストロー
ビーズ
※クッション類は洗濯できます。